よく消える秘密は接地面積です
大ヒット文房具「カドケシ」は、2002年に開催された『コクヨデザインアワード2002』において、この原形となる消しゴムが新鮮なアイデアと機能性が評価されて佳作を受賞しました。そして、2003年に商品化されたのです。
振り返ってみると素晴らしいシンデレラストーリーなのですが、結構時間が経過したので忘れちゃいますよね。今日はこの「カドケシ」について深く考えてみましょう。まだ、僕たちに有用なネタが残っているかもしれないですよ。
以前、僕の先輩が子供会の景品として大量に購入したのですが、その当時の子供に全く受け入れてもらえませんでした。処分に困った先輩が「おまえ、処分しとけ!」といって家に持ってきてくださいました。ありがたい話です。
僕は周囲の文房具好きに配りまくりましたが、好き嫌いがはっきりする商品だったことを記憶しています。秘密は「カド」です。接地面積が少なく、抵抗なくキレイに消せる事が最大の長所です。消し方にはコツがあるんですけどね。
この透明なスリーブから出さないように消し続けるのが、一番安定して「カドケシ」の良さを発揮出来る使い方であると思います。まだまだ販売を続けているこの文房具の応援も兼ねて、今日はブログを書いていきたいです。
最大の特徴である「カド」は28個あります
この消しゴムの最大の特徴は見ればわかるのですが「カド」が多いことです。その数はなんと28個です。10個の四角柱が重なり合って出来ているような消しゴムですから。「カド」が多いのは当たり前ですね。
この消しゴムは、何度も真新しい消しゴムで消すときの快感が味わえます。おろしたての消しゴムを使った時に「あれ?よく消えるなぁ」と思う感触はここから来ているんですね。よく考えてあるものです。
そうであるならば、面倒ですが、都度消しゴムをナイフで切って「カド」を作り続けるという選択肢もありましたね。最近は、この「カドケシ」よりもスティック型で、細身のものが人気になっていますよね。
やはり消しゴムがよく消えるってことは、僕たちの共通の願いなんでしょう。
最初は「カドケシゴム」だった
作品として世に出された当時は「カドケシゴム」という名前でした。ところが、これではインパクトも薄く、名前が消費者の記憶に残りにくいということで、4文字で角ばったイメージも連想させる「カドケシ」になったのです。
ここは素晴らしい発想でしたよね。こちらのネーミングの方が何倍も売れたと思います。こういうちょっとしたことで、その商品の運命が大きく変わってくるんですね。さらには、透明スリーブにも思いがありました。
せっかく、たくさんの「カド」を作った消しゴムなのに、みえなくちゃつまらないだろうということで透明スリーブが発案されました。それまで、紙のスリーブが一般的であったので、これも画期的でしたよね。
デザインは問題を解決する
「デザインは問題を解決する」という言葉をよく耳にします。僕は毎年ISOTで審査委員長をされている川崎先生のスピーチをお聞きしているので、この言葉を聞くたびに感動します。では、どうしてデザインが問題を解決してくれるのでしょうか?
それは、この言葉の中には問題自体を再定義するというプロセスが含まれるからです。
飛行機の待ち時間が長すぎるという問題があったとします。
飛行機の本数を増やす。乗客数を多くした旅客機にする。輸送効率をあげるという課題解決に走ってしまいがちですが、問題を再定義したときに待ち時間が退屈なのでは?という課題も考えられます。
するとその方が、コスト、人の気持ち、効率などを考えても良いという場合も出てくるのです。なかなか素敵な話でしょ?そんなデザインでの問題解決プロセスが「カドケシ」の販売までのプロセスに入っていたんじゃないかと思うんです。
そんな「カドケシ」を、優しく使ってあげてくださいね。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。読者の方に感謝です。