
文房具ブロガーの猪口フミヒロです。
部屋の棚には、普段あまり使わない文房具がいくつか眠っています。でも、その中には年に何度か無性に取り出したくなる一本があります。
それが、イタリアの万年筆ブランド「ビスコンティ」のオペラ ブルーベリーです。
決して頻繁に使う万年筆ではありません。むしろ、書くためというより「眺めるため」にケースから取り出すことの方が多いくらいです。
それでも、この一本だけは特別な存在。光にかざしながら軸をゆっくり回していると、時間が経つのを忘れてしまいます。
出会いは『趣味の文具箱』でした
この万年筆を初めて知ったのは、岡崎市の文具店「ペンズアレイタケウチ」で読んだ『趣味の文具箱』でした。
誌面いっぱいに掲載された写真を見た瞬間、思わずページをめくる手が止まったことを今でも覚えています。
「これは、いつか手に入れたい。」そう思わせるだけの存在感がありました。
カメラマンの方の撮影技術も素晴らしかったのでしょう。自然の風景にも、人工物にも溶け込むような美しいマーブル模様は、それまで見たどんな万年筆とも違って見えました。
その時の価格は7万円弱。決して気軽に買える金額ではありません。「本当に買っていいのだろうか。」そんな葛藤を繰り返しながら、購入するまで一年近く悩みました。
今振り返ると、その一年も楽しい時間だったように思います。


究極だと思ったマーブル模様
この万年筆の魅力は、何と言っても軸の美しさです。白を基調に、濃淡の異なるブルーがゆるやかに流れ、まるで水彩画を閉じ込めたような模様を描いています。
同じ模様は二つとして存在しません。
天然石を眺めているようでもあり、海の波にも、空に浮かぶ雲にも見えてきます。僕は昔から、このようなマーブル模様が大好きです。
朝の珈琲に少しだけミルクを注いだ瞬間に生まれる模様もそうです。かき混ぜずに見つめていると、ゆっくりと形を変えながら、美しい世界を見せてくれます。
木星の縞模様を写した写真を見るのも好きです。あの巨大な渦を見ていると、宇宙の壮大さに思わず引き込まれます。自然界には、不思議なくらい美しい曲線や渦があふれています。
だからこそ、この万年筆の軸にも、どこか生命のような温かさを感じるのかもしれません。
イタリア万年筆ならではの魅力
日本の万年筆は、精密さや機能美に優れています。一方で、イタリアの万年筆には芸術作品のような華やかさがあります。持っているだけで気持ちが明るくなり、「今日はこの万年筆を使ってみよう」と思わせてくれる力があります。
文房具は毎日使う道具ですが、気分を豊かにしてくれる存在でもあります。そんな役割を、イタリアの万年筆は自然に果たしてくれるのです。ビジネスの場でも、こんな美しい一本を使っていたら、仕事の時間まで少し楽しくなるのではないでしょうか。

もう手に入らない名作
残念ながら、この「オペラ ブルーベリー」はすでに生産終了となっています。中古市場でも見かける機会は少なく、同じようなデザインのモデルもほとんどありません。だからこそ、この一本は僕にとってますます大切な存在になりました。
もちろん万年筆は「書く道具」です。
紙の上を軽く滑るような書き味は、ボールペンでは味わえない心地よさがあります。でも、この万年筆だけは少し違います。
ケースから取り出して、光の当たり方で変わる表情を眺める。手のひらでゆっくり回しながら、その美しさに見惚れる。そんな時間そのものが、この万年筆の楽しみ方なのです。


おわりに
高価な万年筆は、決して「必要なもの」ではないかもしれません。それでも、人生の中には「好きだから持っていたい」と思えるものがあります。僕にとって、このビスコンティ「オペラ ブルーベリー」は、まさにそんな一本です。
これから先も、新しい万年筆を買うことはあるでしょう。それでも、この万年筆を初めて手に取ったときの感動は、きっと色あせることはありません。
書く道具というより芸術品。そんな言葉が、これほど似合う万年筆には、これからもなかなか出会えないような気がしています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。これからも有益な記事発信を心がけますので、ぜひ遊びにいらしてくださいね。