
文房具の展示会や商談会に行くと、複写式のオーダー伝票などを使って仕事をしている風景をみかけます。実物を見て納得してもらい、注文を受けた時に間違いがないようにするためには、この複写式で自分にも相手にも証拠が残るのが一番なんでしょうね。
営業マンの人に、他に方法がないの?と、聞いてみたところ「まだこれが最良です!」と言っていました。まあ、仕方ないところですかね。でも、こんな複写式のニーズは他にもあるらしく、飲食・配送・小売などの仕事に根強く残っているそうですよ。
僕も40年ほど前には、この複写式伝票の山と格闘していました。こんなの薄くて読めるかとか、数字が紛らわしい案件に毎月悩まされていました。DXの嵐が吹き荒れて、最近の職場ではそんな悩みは少なくなっているのかもしれないですね。今後が楽しみです。
そんなイントロから、今日はコクヨの「複写メモ」を紹介します。
なんとなくレトロな雰囲気を持った素敵な文房具だと思います。


複写式用紙の歴史です
歴史をさかのぼってみましょう。19世紀(1806年)に、イギリスの発明家ラルフ・ウェッジウッド(Ralph Wedgwood) が、筆圧で文字を複製するための「Stylographic Writer」を考案しました。これが、カーボン紙の起源となります。
ウェッジウッドは、戦地の兵士たちが手紙を複数の宛先に送るための方法として、この仕組みを考え出したとされています。戦地からの手紙は日本にもたくさん残っていますが、こういう極限のところから様々なものが進化していますよね。
それをベースにして19世紀後半には、商業印刷や事務作業の効率化が求められ、タイプライターとともにカーボン紙が普及します。カーボン紙を1枚挟むだけで、下の紙にも同じ文字を写せるというその便利さは、手書きやタイプ作業の現場を大きく変えました。
この頃から、「複写式伝票」という文化が広まり、注文書・請求書・領収書などが生まれていきます。そして、今なお活躍しているのです。


メール見ていませんという人
最近は仕事でもメールやチャットが日常になってきました。もう、このアイテムなしではいられないくらいです。もうそろそろ、アバターが僕たちの代わりに仮想空間で仕事を始める日も近いのではないでしょうか。実に楽しみな未来ですね。
でも、直近ではコミュニケーションが取りづらくなって困っている部分もあると思います。納期ギリギリになってからメール見ていませんでしたと謝られてもどうにも対処できませんよね。うまくいかない時こそ、アナログに戻ってみませんか。
こんな「複写メモ」を使って仕事の進捗確認したり、やってもらいたいことを一緒に書き出したりするのです。アナログでできないことは、デジタルでもできないですからね。ちょっと後戻りする感じはありますが、簡単に問題の発見ができますよ。
読者の方から、メールを見ないでも平気な人はメモも見てくれないよとコメントをいただきました。確かにそうかも。でも、これからどんどんコミュニケーションが難しくなっていく時代でしょうから、それに備えて練習しておきたいものです。

使い方です
まずは、下敷きとして使う厚紙を切り離しましょう。ここから、スタートです。次に、2枚セットになっているので、2枚めくって下敷きを敷きます。そして、そこに書いたら下に複写された方の用紙をピリリと破いて使います。使い方は考えてくださいね。
手元に残っている用紙と相手に渡した用紙が一致しているところが便利ですよ。
筆跡も同じものが出来上がるので、理屈はわかっていても不思議です。

Yahoo!ニュースに書いた記事です
こちらでも記事を書かせていただきました。

こちらから買えます

僕がこの「複写メモ」で書いたものをサンプルでアップしておきます。
『文房具を深める100のことば』を書写してみました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。読者の方々に感謝です。これからも、この文房具ブログを読んで応援してください。みなさんの後押しが僕の継続の原動力です。よろしくお願いいたします。


